デザイン手法とデザイン思考について
更新が滞っていますが、修士論文の1度目の提出が終わり、ほっと一息ついているところです。
今は今月中旬の予備審査にむけてプレゼンを作っています。
さて、私の修士論文のテーマとして、発想法を扱っています。
今回、事例調査として色々なデザイン思考(Design Thinking)やデザイン手法(Design methods)について調べたので色々メモがてら書こうかなと思います。
デザイン思考とデザイン手法
まず、デザイン思考とデザイン手法は一般的にその意味が曖昧であり、混合されて使われていることもしばしばあります。
一般的に、デザイン思考とはデザイナーがデザインを行う過程で用いる特異の認知活動を指す言葉であります。あるいは、デザイン思考法を重視した統合的プロセス、またはそのプロセスを手法化したものであると広く認知されています。
この定義はこちらを参考しています。
一方、デザイン手法とは、先述のデザイン思考法を重視した設計プロセスを手法化したもの、またはそのプロセスの中で使用する手段一般のことを指すことが多いです。
最近、デザイン思考の今後という記事がちょっとバズりましたね。そこでは、以下のように述べられています。この記事は特にデザイン思考についての現状詳しく述べられていますが、デザイン手法についてもまた同じことが言えると思います。
そしてさらにもっと抽象度の高いところにはその状況の中でそもそも「なぜ」やるのか?「なぜデザインなのか?」といった問いがある。ここで悩ましいところだが、ビジョンと環境は、どっちが上位という訳でもなさそうである
私は、上記の記事で衝撃を受けました。私の6年間のデザイン教育を通して、デザインとは常にターゲットや目的が明確に設定されるべきで、その課題を解決するためにデザインを行ってきました。デザインを学ぶ学生にとってデザイン思考やデザイン手法とは間違いなく手段であるのが前提だったのですが、そうでない領域が違う人々はそもそも目的設定が明確にできないこともあるんですね。
なぜ、どうしてその手段が必要なのか、それが本当に必要なのかは問い続けなくてはいけません。デザイン手法を使って明らかになること、できることと、自分のビジョン・目的・課題の達成のためにやるべきことを吟味する必要があります。デザインは万能ではないので、解決できないこともあります。
熟練度の高いデザイナーであるほど、そのデザイン手法をそのまま使用しません。経験が豊富なデザイナーであるほど、手法に縛られず、状況や目的に合わせて、手法同士を組み合わせたり、アレンジしたりしてケースバイケースに適応させます。
プロジェクトの進行具合、またはそのプロジェクトのフェーズ(開発段階なのか成熟段階なのか)によっても使える手法は違います。
もちろん、デザイン手法は絶対ではありませんし、それを使うことで100パーセント何かを解決することは不可能です。「手法なんて意味ない!」ということも多々あるかもしれませんが、デザイン手法は使う用途やそのタイミングによって非常に強力なツールになりえるのです。それは私たちがphotoshopやillustrator, indesign,powerpointやエクセルをケースによって使い分けるのと同じように。
こういう手法やプロセスは、アカデミックなデザインと揶揄されることがたまにあります。自分も実際にweb系の会社の人に言われたことがあります。しかし、先人達が開発し体系化し言語化したデザイン手法からは学べることが沢山あります。手法なんて現場で使えない!と食わず嫌いせずに、知識として吸収し、必要な場面でアレンジして使ってみてはいかがでしょうか。
次の記事では、デザイン思考・デザイン手法が学べるオススメの本をいくつかピックアップして紹介しますね。