明日はきっと日曜日

東京の会社で働く新人UX・UIデザイナー

入社2年と4ヶ月

新卒で入社した会社を2年4ヶ月で退職した。若くてエネルギッシュで、個人の裁量の大きい会社で多くの経験を積ませてもらった。本当にみんないい人でポジティブ・アクティブで、とにかく働きやすかった。自分都合とはいえ、大好きだった会社を退職するのは後ろ髪を惹かれる思いで、非常に寂しい。プロダクト開発から広告デザインディレクション業務まで広く関わる中で、特に学べたことをいくつか書き残しておく。(実質退職エントリーです。)

ビジネスとデザインのバランス

極論、ビジネス目標を達成するためにユーザーの不便さを選択しなくてはならないこともある。ひとりのデザイナーとして心苦しい選択をしなければならない場面もあるが、サービスとしての大義を成すために仕方ないこともある。(一方で、これはビジネスモデルとサービス戦略に依存すると思う。)

不確実性の高いデザイン

「このUIをデザインする」「あのポスターをデザインする」というデザインや目的があまり定まっていない状態でタスクが降ってくることも多い。抽象度の高いタスクに優先順位や要件、目的をさだめながら、遂行していくスキルが付いた。

サービスブランディングについて

ブランドのイメージはロゴだけで決まるものでもCMだけで決まるものでもなく、すべての接点で同じ方向を向いて、同じメッセージを投げ続けられるかが重要。言葉にするとシンプルで、できないわけなさそうに思えてくるのだが、実業務ではなかなかうまくいかないことも多い。サービス規模が大きくなればなるほど難易度が上がる。現場でのオペレーションであったり、偉い人の一声であったり…いろいろあるが、特に難しいと思った点としては、ボトムアップ組織でのブランドコントロールは難しい。メンバーレベルまでブランドが浸透してるかが鍵になってくるのだと思うのだけど、関わる人も多く拠点もバラバラで業務内容も異なる場合、ほとんど無理に等しいと感じた。そうなると、インナーブランディングトップダウンでタスクレベルで落として行くほうが上手くいくのだと考えさせられた。ブランドとして成立するためには継続が必要で、継続していくためには土壌を耕していくような地道な草の根活動が本当に必要。地味作業が多いことを改めて学んだ。

 

やめた理由

前提として「最低限2年は働こう、いいと思える人に誘われたら新しいチャレンジをしよう」ということを入社当時から考えていた。昨年10月頃にプロジェクトベースでなにかしようと同期に誘われて、そのままみんなで起業するかたちとなった。この人達と一緒に働くのであれば絶対に楽しいし、残りの20代の時間を使ってかけてみてもいいかなと思った。作ることが好きで誰かのためになにかを作ることに注力できる人たちと、小さくプロダクトを作り上げるよいチーム。

次の会社では、月額制の受託開発を行う。エンジニア・デザイナーが在籍し、新規サービスの立ち上げやMPV制作を主に請け負います。インハウスのエンジニア・デザイナーを雇う、というような関わり方が近いと思う。企画、デザイン、開発、運用まで一貫して行うので、なにも決まってない案件でもご相談お待ちしております〜

というかんじでかなりポジティブめな退職ですが、あえて理由を書くのであれば、下の2つ。主にこういうことがしてみたいチャレンジしたいという理由が大きいです。

integrated designな仕事がしたくなった

大きな企業で1分野のプロフェッショナルとして生きるのではなく、もう少しこじんまりしたサービスでいままでの自分の経験をすべて統合したような関わり方がしたいと思った。やりたきこととしては、サービス提供価値を明文化し、サービス体験価値やブランドを醸成すること。体験のコアを探していくこと、それらを提供するUIをつくり、価値を体現するためのビジュアルを作ること。ブランドから体験、画面までを一貫した価値をベースに作り上げること。まさにintegrated designだと思う、精進していきたい。

だからなにデザイナーと名乗っていよいかがイマイチわからず、とりあえず一番わかりやすくプロダクトデザイナーを自称する事が多いですが、デザインディレクションからUIデザインまで一通りやります。

手触りのある仕事がしたくなった

これはUIデザイナーロールとしての願望、ニュアンス。前の会社ではオフショア開発を行っており、デザイナーとエンジニアの距離が遠かった。物理的な距離もあるが、文化や感覚などのコンテクストを共有していないこと、人の入れ替わりが激しいためナレッジが溜まっていかないことなどが原因で、細かくあらゆることをすべて指示しないと思った通りのものが作れなかった。もちろん、あらゆるパターンを全部デザインすることは、限られたリソースの中ほぼ不可能に近いため、諦めざるを得なかった場面が多々ある。その点、新しいチームでは私がデザイン観点を伝えつつエンジニアに学習してもらい、私もエンジニア観点で必要なことを学びながらプロジェクトを行っている。ニュアンスで言語化しにくいけど、手触りのある開発を行えている気がする。コミュニケーションのロスが減って、ソフトウェア開発としてはかなりよい状態だと思う。

 

てなかんじで、やっていきます。

これで30記事目、3年前にブログを始めた当時では思いもよらなかった道を進むけど、3年後もきっと私がみたことのない景色をみているだろうと思うとドキドキする〜