明日はきっと日曜日

東京の会社で働く新人UX・UIデザイナー

そのデザインで誰が幸せになるのか?をデザイナーは意識するべき

デザインとは未だ存在しないものを想像し作り上げていくことである。
 
一言でデザイン、と言ってもその幅は広い。
遠い10年先の未来ビジョンであったり、はたまた目の前のアプリUI、ゴリゴリのプロダクトデザイン、商品の宣伝をする電車の広告。
時間軸も次元も媒体も多岐にわたることが、デザインという言葉の持つ多様性である。
 
そんな多様性の中、デザインのもつ共通項とは
”未だこの世に存在しないモノを様々な手法をつかって想像し作り上げること”であると思う。
殆どの場合、アウトプットは何かしらのかたちで可視化される。
グラフィックや3Dモデルはもちろんのこと、文章やサービスモデルなど、誰かに伝わるかたちに変換することがデザインの役割である。
 
デザイナーが想像し作り上げ可視化されたものは力を持つ。
サービスやモノのコンセプトや意図をカタチに落とし込むことで、見た人に伝えたいことを伝え、与えたいことを与えることができる。デザインは人のこころをつかみ、行動や潜在・顕在意識を変えることができる。
 
だからこそ、デザイナーは作り上げたもので誰が幸せになるのか?を意識しなくてはならないと私は思っている。
今年話題になったサービスCASH。
デザインも「ポジティブなお金の表現」というコンセプトを元に、かわいいイラストやインタラクションをふんだんに使った軽やかなデザインに落とし込んでいる。
インターネット上ではコンセプトドリブンでデザインが落とし込めていることを絶賛されている。(↓ブログは1例である)
 
私はCASHのデザインが大絶賛されていることに疑問を抱いている。
たしかにプロダクトとしてデザインは素敵で洗練されていて、インタラクションも今風で気持ちがいい。
 
しかし、そもそものサービスコンセプトはひらたく言ってしまえば質屋アプリである。
(このブログの記事がわかりやすいhttps://hajipion.com/2484.html
 
質屋と同じサービスモデルを、デザインでごまかしているように見受けられる。
上記のブログの言葉を借りて言い換えると、
 
デザインを使って「一時的に物を預けて今すぐお金を借りること」を
錬金術かのように錯覚させ、お金を借りることのハードルを下げている。
 
デザインで恣意的にお金を借りることへの抵抗感をなくしている。
サービスで生み出したい体験「ユーザーにお金を借りさせる」ことは誰を幸せにできるのか?答えは明快で、サービスオーナーである。ビジネス上の利益のみが最終的な目的である。それを使うユーザーは最終的に幸せになれるのだろうか。
 
意図しているイメージを植え付け、行動を起こさせる、これがデザインの力である。
伝えたいメッセージを届ける、与えたい印象を作り上げる、ネガティブな事に対してもネガティブさを隠し騙すことができる。
 
だからこそ私達デザイナーは、を問い続けなければならない。
そのデザインで誰が幸せになるのか?
 
デザインと倫理の問題は奥が深い。