明日はきっと日曜日

東京の会社で働く新人UX・UIデザイナー

美しさと自然の関係性

初めて海外に行った時、街中の景色の違いに驚いた。実際に生活をしてみて、美意識のちがいを感じることが多々あった。それからゆるーく”西洋の美しさ” ”東洋の美しさ”の概念の違いは何から生まれたものだろうか?と問い続けている。

「身長の高さ・顔の彫り深さのような人間の身体的な特徴や街中の建築物などの、人間が歳をかさねるなかでは”毎日生活の中で目にするもの”がなんとなく疑問のヒントになっているような気がしている」という話を会社の先輩にポロッとした時に

「きっと美しさは自然環境につながってるんだね」とコメントを貰った。

一般的には、自然環境への適応の結果が人間の体格差・容姿・顔の形の違いだと言われているらしい。建築も俯瞰していると、日本の建築と西洋の建築の違いを生み出す大きな原因の一つは地震の有無だと思っている。

全ての原点は自然にあると言ってしまえば、私達が生物として存在している限りそうなんだろうけど、もう少し分解したくなった。

 ということで、「自然」「美」などのキーワードでつながる本の手始めとして読んだ本。自然の形と人工物の形を体系を見直しながら、形の美とはなにか?を紐解いている本。

形の美とは何か (NHKブックス)

形の美とは何か (NHKブックス)

 

以下はネタバレ(?)というか本の要約です。

自然の形は美しさの原点

私たち人間は自然の造形をモチーフとして紋様化し、装飾美術を作り上げ、世界各地でそれぞれの時代の様式美を作り上げてきた。自然の形=美しさの原点であり、その造形特徴は次の4点である。

  • 自然の法則、造形の秩序に準拠した機能の形である
  • 形状がなめらかで無駄がなく有機的形体(オーガニック形体)である
  • フラクタル性の形では、自己相似性による黄金比の持つ美しさを形体している
  • セルオートマトンによるリズミカルなパターンが見られる(貝類や動物や模様)

日本の美も西洋の美も、同じルーツ原点(=自然の形)

日本の美=非定型・非対称の自然の美

ジャポニズムの造形原理は日本人の自然主義に根ざす美意識の視覚言語である。日本人は古来、美の究極は自然にあり自然と一体となり融合することが最高の美であると信じていた。精神性の美術表現は抽象性を高め、遠近法を無視した平面的装飾的表現を推し進め表現による、飛躍や誇張を高めたのである・

西洋の美 美の規範=対称性や黄金分割などの絶対美 

ギリシャ時代以降ユークリッド幾何学の合理的で科学思想優先の西欧文化では、幾何学的形態や黄金比と対称性の数理的規範への傾斜が当然の帰結であり、美の原理もこの思想下にあると考えられていた。

著書のなかで、複雑な形・出鱈目な形といわれてきた自然系の非定型の形の中にも、フラクタルな一定の秩序があり、それらた黄金比と密接な関係があることが述べられている。複雑な日本の黄金比と西洋の黄金比が非常に近いものであるらしい。

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東洋も西洋も自然の形という同じルーツ原点を持つが、思想の違いによってその捉え方が異なっていたという話だった。グローバル化が進んでいき、美しさの基準はどうなっていくんだろう?

あんまりデザインの歴史などの教養は人並みくらいにはあるけど、美術はわりと無縁なのでもうちょっと勉強したいなと思いながら時間が足りずいつも後回しになってしまう…。次は、別の人にすすめられた和辻哲郎読みます。

 

風土―人間学的考察 (岩波文庫)

風土―人間学的考察 (岩波文庫)